「手放す」と「捨てる」
はじめに
ブログ記事や、お客様に整理収納を伝える時に、私が気を付けているのが「捨てる」という言葉を使わないこと。
まずは「手放しましょう」。
細かい事だけど、私の中では大事にしている言葉について書きたいと思います。
「片付けないと、捨てちゃうよ」
私が整理収納アドバイザーになる最初のきっかけは、長女から
「お母さんは片付けなさいって言うけど、片付けなさいって何をすることなの」
と聞かれたから、という話はプロフィール内でも講座でも、よく話しています。
整理収納の考え方を知るまでは、ずっと子どもにも
「片付けなさい!片付けないと捨てちゃうよ!」
と言っていました。
でも、これは逆効果だと、整理収納の考えを学んでから知りました。
キーホルダーひとつでも
また、私が整理収納アドバイザーの資格を取ろうと思ったもう一つのきっかけが、「お片付けが得意」というだけで友人の家の片づけを手伝ったときでした。
「あなたと一緒に片付けたあと、キーホルダーがひとつ見つからない」
と、連絡が来たこと。
思わず血の気が引きました。
人のモノを扱うことの責任の重さ。
キーホルダーだからといって、軽々しく捨てることの怖さ。
あの時に受けた衝撃は、今もずっと心に残っています。
まずは、捨てなくていい
お片付けの相談をさせてもらっていると、
「捨てなきゃダメですよね…」と落ち込む方や
「捨てられないんです」と自分を責める方、
「どうやったら捨てるのが得意になるんですか?」と聞く方、
『捨てる』というキーワードにこだわっている方が沢山いるなと思います。
そんな方へ向けていつも伝えさせてもらっているのが
「捨てなくていい」
ということ。
大抵キョトンとされます(笑)
「捨てなくていいから、手放してみましょう」
これが、お片付けが上手くいく一番のポイントだと思っています。
「手放す」と「捨てる」
この写真は1年前に食器棚の整理をした時に『捨てた』食器です。
私の中の「手放す」と「捨てる」という言葉の違いは
手放す
「使わないかな?」と思うモノを一旦どけて、別の場所で保管すること
捨てる
家にあったモノを、そのままゴミ箱へポイ。ゴミ収集へ持って行ってもらう。
以上です。辞書で調べると、違うかも知れませんが(;´∀`)
どうして「捨てなくて」よいのか
「手放すだけでいい、捨てなくていい」と書きました。
では、どうして捨てない方がよいのか。
それは、お片付けに慣れていない方が頑張ろうとして
モノを捨ててしまうと、その後捨てることが怖くなるから。
私の失敗談のように
「捨てなさい」と無理に言われてしまったり
自分のものを勝手に捨てられてしまうと
人って捨てることに対して恐怖を覚えます。
恐怖を覚えてしまうと、
今度は逆に捨てられなくなってしまう。
折角頑張ろうとしていることが、裏目になってしまう。
そうなって欲しくないという気持ちで
「手放す」という言葉を使っています。
「手放した」ものを「捨てる」タイミング
じゃあ「手放した」ものは、そのままでいいのか?
残念ながら、そのまま置き続けていいわけではありません。
人が生活する限り、モノは増え続けていきます。
古いモノが家の中にあるのに新しいモノをどんどん入れていけば、
限られた生活スペースはいずれパンクします。
そうならないために、
「手放した」ものに「捨てる期限日」を付けてください。
そしてその「期限日」が来たら、必ず捨ててください。
「あぁ、いらない。捨てよう」と言ってすぐに捨てると、
1週間後とか1か月後くらいに「あぁ、必要になったのに捨ててしまった」
と思うことがある。そうして同じ物を買ってしまう。
『いつか必要になるかも知れないという心配が
現実に起こるかも知れない。という将来を心配する』
これが、『物が捨てられない』と怖がっている最大の原因です。
(まぁ、多分滅多には来ないんですが…)
この将来の心配を解消するために
『ものを捨てるための予備の期間』を自分に与えてあげてください。
上の紙袋の写真は、『手放す』ことにした食器に
『捨てるまで2ヶ月』の予備の期間を与えてみたところ。
どのくらいの期間?
私は一応「片付けのプロ」を名乗らせてもらっているので、
片付けには大分慣れています。そんな私は1~2ヶ月。
慣れていない方は半年でも1年でも。
納得できる予備の期間を設定してください。
大事なのは『猶予期間を自分で決める』こと。
あなたのものは、あなたが決める
人から見たらボロボロのものでも、
汚れていたとしても、
自分にはピカピカの宝物かも知れない。
むやみに「いらないなら捨てればいいじゃん」と
人のモノを捨てた方が良いと判断することの怖さは、
友人の家を片付けた時の失敗で嫌と言うほど感じました。
整理収納アドバイザーは『アドバイス』はできます。
けれど『あなたにコレは必要なさそうだから捨てなさい』
とは決められません。
だって、あなたのものは、あなたのものだから。
あなたの価値観を、一番大事に
大事なものかも知れない。
いつか必要になるかも知れない。
だから、捨てられない。捨てにくい。
そこで
1.まずは『手放して』
2.自分が納得できる捨てる期限日を設定する
3.携帯のスケジュール等にその日を登録しておく
4.捨てる期限日になったら『捨てる』
という、ちょっと回りくどいけど、これが一番の
お勧め方法なんです。
『あなたの価値観』を大事にすることを第一に考えて、
是非とも一度、お試しください。
唯一、救出したもの
私も上記の方法で持ちものを頻繁に見直してます。
そんな中、唯一『捨てる期限日』の前に
”やっぱり必要だ” と思って救出したものがあります。
それは、メジャーです。
モノのサイズを測り、家の中のサイズも測る。
整理収納アドバイザーには、必須の道具。
一旦は捨てようかと思って『手放す』袋に入れてました。
そのあと、整理収納アドバイザーとして活動していきたいと決めたとき、
『手放そう』と思っていた袋の中に入っていたことを思い出して、
思わず救出していました。
さいごに
お片付けの一番大事なことは、『捨てる』ことではありません。
ほんとうに大事なものがなにかを、自分で決めることです。
少しずつ、無理なく、焦らず、根気よく。
どうか、あなたに負担がない、お片付けを。